脳小血管病について知る
RVCL-S アールブイシーエル・エス
脳白質脳症および全身症状を伴う
網膜血管障害(RVCL-S)
Retinal Vasculopathy with Cerebral Leukoencephalopathy and Systemic Manifestations
指定難病 未指定
(厚生労働省の指定難病には指定されていません)
RVCL-S は、病気に関わるTREX1遺伝子のC末端の変化(病的バリアント)によって発症する常染色体顕性遺伝の脳小血管病です。
血管閉塞や出血、酸素や栄養の供給不足(虚血)などの血管性障害が、網膜・脳・全身の臓器に生じます。
原因
Trex1タンパク質の正常な働き
- Trex1タンパク質は細胞の中の「DNAのお掃除係」です。
- DNAが傷ついたときに、その傷を修復し 20 、細胞の健康を保ちます。
- この働きにより、体の細胞は元気に働き続けることができます。
異常が起こるとどうなる?
Trex1タンパク質が正しく働かないと、細胞の中で問題が積み重なっていきます。
- DNAの傷が残ってしまう
本来なら修復されるはずの傷が直らず、細胞の中にたまります。 - 細胞の老化が進む
古い傷が残ることで、細胞の寿命が短くなります。 - 慢性的な炎症が起こる
体が「異常あり」と判断し続けるため、炎症が長く続きます。 - 血管に影響が出る
脳や眼(網膜)の細い血管が障害を受け、症状が現れます。
注意すべきポイント
一部の研究では、この病気はDNAを修復する働きがうまくいかず、放射線の影響を受けやすい可能性があると考えられています。
ただし、病気の診断や治療のために必要と判断される場合には、医師の判断のもとで、放射線を使う検査や治療が行われることがあります。
放射線を使う検査や治療については、必要性やリスクを担当医とよく相談して決めましょう。
病気の進み方と個人差
- RVCL-Sの進行は人によって大きく異なります。
- 腎臓・眼・脳などに症状が出やすいですが、発症の時期や程度はさまざまです。
- また、乳がんのリスクが高くなることが報告されています。専門医と相談して定期的な検診を受けることが重要です。
疫学
主な症状
- 網膜の血管異常(網膜症、黄斑浮腫など)による視力低下や視野障害
- 脳の血管障害(脳卒中様発作)、頭痛、けいれん
- 各臓器の小血管障害による機能低下(腎機能障害、肝機能障害など)
経過
発症から5~10年で病状が進行し、網膜や脳に加えて、腎臓や肝臓など、体のさまざまな臓器に障害が及ぶようになります。
こうした全身の変化により、日常生活への支障が大きくなり、医療的なサポートや継続的な対応が必要となることがあります。
治療
根本的な治療法は確立していません。
現在の治療は、症状を和らげ、生活機能を維持する「対症療法」が中心です。
- 2025年10月
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- 新潟大学脳研究所
- 安藤 昭一朗